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海の異変に立ち向かう五島列島福江島の未来への挑戦
2023-10-21 20:26:11

五島列島最南端に位置する福江島。その福江島南部にある富江町では、五島漁協協同組合 富江支所漁業集落が中心となって、地元の小中学校と連携した取り組みを始めた。


海や魚に関心を持つ人を増やすことから、藻場が減少したり無くなったりする磯焼け問題や漁業関係の方々が苦労され獲った魚が流通できず未利用魚問題となっている現況など五島の海が抱える諸問題に向き合い解決策を模索しています。独自にさまざまな取り組みが進む五島列島だが、「五島モデル」といわれる行政による磯焼け対策も成果を見せはじめ、全国から多くの視察が訪れてもいる。そんな富江集落や五島市の取り組みを紹介しましょう。



「五島で未利用魚といえばニザダイ、イスズミ、アイゴです。私たち水産業関係者にとってこれらの魚は、海藻類を食べ尽くし海の生態系に害を及ぼす三大厄介者です。定置網の中に入っていろいろな魚と一緒に水揚げされることが多いのですが、この厄介者たちが流通に乗ることはほとんどありません。魚体から海藻類の匂いがするので市場では人気がないんです。

五島の海は近年、厄介者の魚たちが海藻を食べ尽くすことによる磯焼けが広がり、藻場がなくなることから稚貝や稚魚が育つことができず、生態系への影響を及ぼしています。また、温暖化によって海水温が下がらず、冬場でも活発に海藻類を食べ続けるニザダイやアイゴなどの量が増えてきました。

漁師からしてみると、ニザダイやアイゴが定置網にたくさん入るようになっても市場では売れない。従って、水揚げしても海に戻したり処分したりせざるを得ませんでした。地元の練り物企業「浜口水産」が処分対象となった未利用魚を定期的に購入してくれています(2023.8.25公開にて掲載)。

これは漁業者としては大変ありがたいことなのです。ただ、最近は少し状況が変わってきました。長年、安値で取引されてきた魚の中から、人気が出て高値がつくようになった魚が出てきたのです。例えばオジサンという魚で、数年前まではニザダイやアイゴと同等の扱いだったものの、今は当時の10倍ほどの値段がつくようになりました。もともとクセがなく調理しやすい白身の魚だったのですが、魚体の色がきれいな赤色で見栄えがすることが価値を高め、フランス料理で魚のソテーの材料として注目され始めたのです。

このオジサンはタイより安価で身もしっかりしていて、魚の価値がきちんと伝われば、未利用魚は減らすことができるという良い例かと思っています。ブダイやマトウダイも市場ではあまり人気がありませんが、フライにするとホクホクしておいしいんですよ。五島の魚に興味を持ってくださる方々には、選り好みせず、是非いろいろな魚を試していただきたいですね」



五島漁業協同組合富江・黒瀬支所・支所長の小原強志さん。五島の海と水産業の未来を考え、アイデアと行動力で富江集落独自の取り組みを進める。


漁業協同組合という立場から長年、五島の海を見てきた小原さんも、やはり海の変化を気にかけています。最近、南方系で沖縄ではお馴染みのグルクンが五島の海でも多く見られるようになったようです。間違いなく温暖化の影響なのだろう、また魚種によっては漁獲量が極端に増減することもあるため、魚が獲れなくても困るが、獲れすぎても困るという問題も起きています。


「スルメイカが獲れなくなりました。10年前までは毎日何十トンも水揚げされていたのですが、この10年間は限りなくゼロに等しい状態です。逆に今年はイワシが獲れすぎて、安値になってしまいました。自然が相手ですから魚量の増減や魚種の変化が起こるのは仕方がないことかもしれませんが、例え大漁であっても、獲れすぎで消費が追いつかず、その結果として未利用魚として処分されてしまう状況には、本当にもったいなく心痛める状況なのです。五島では行政による藻場修復事業や食害魚駆除のほか、浜口水産などの民間企業が磯焼けや未利用魚を減らすための独自の取り組みを行って頂けていますので、漁協としては心強く思っています」


富江町はサンゴ細工で栄えてきた町でもあり、その伝統をつなげていこうと昨年、富江漁協と学校が連携し授業を行った。サンゴ漁師自らが教壇に立ち、子どもたちにサンゴについて座学を実施。(画像提供:五島漁業協同組合 富江支所)


五島列島福江島で始まった磯焼けや未利用魚に対するさまざまな試みがある、その一方で五島市による行政としての「磯焼け対策アクションプラン」を2019(令和1)年に策定し、五島沿岸の藻場の保全・再生に向けた取り組みを行なっています。


その背景には、五島の海から無くなってしまった藻場をもう一度再生したいという強い思いがあり、五島市産業振興部水産課水産振興班の里道誠二さんに伺ってみました。


「五島の海の磯焼けは本当にひどく、現在では沿岸部の藻場はほとんどありません。かつて五島の特産品であったヒジキを例にすると、1993(平成5)年には出荷量が年間300トンほどが、1998(平成10)年には二桁になり、2006(平成18)年以降は一桁まで落ち込みました。磯焼けの原因はさまざまありますが、五島市の場合、海藻を食べるイスズミやアイゴなどの食害魚の影響が大きいようです。以前は、これらの魚は海水温が下がる冬場の活動は弱まっていましたが、海水温の上昇により冬場でも活発となり、一年を通して海藻を食べているのです。本来、冬場に新芽が出て成長し、5~6月に収穫時期を迎えるヒジキは成長する間も無く食べ尽くされてしまいます」

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D.Y.F.Cの歴史は、40余年。会員のお子さんにとって「その人生で最も感性豊かなときに、かけがえのない体験を」、そんな思いからダイワヤングフィッシングクラブは1976年に発足しました。この当時、コミック界では異色な釣りマンガが少年コミック誌で連載がはじまり、たちまち一大ブームが起きました。それまで大人の趣味であった釣りが、日本中の子どもたちに注目されることになりました。
温暖化の影響で年々海水温が上がり、秋冬といっても海の中は夏の色が濃い状態が続いています。それでも台風や低気圧で徐々に水温が下がり、今年も間のなく待望のシーズンがやってきます。